俳句とは何か?
俳句とは何か?
その答えはじつに簡単です。
俳句とは、季語の入った五・七・五音の短い詩です。
次の松尾芭蕉の俳句はおそらく最も有名な俳句ですが、確かに蛙という春の季語が入っていて、五・七・五の音数となっています。
古池や蛙飛こむ水のおと
芭蕉
ふるいけや(五)
かはずとびこむ(七)
みずのおと(五)
このように、俳句に蛙のような季語が入っていることを有季と言います。
また、俳句が五・七・五の音数になっていることを定型と言います。
この有季と定型と言う俳句の二大原則を合わせて有季定型と呼びます。
有季
もう少し例句を見ていきましょう。
早乙女の見に行く宮の鏡かな
言水
早乙女とは、田植えの日に早苗を植え付ける役割を担う娘さんたちのことで、夏の季語です。
今でも神事として行われる田植えでは、冒頭のイラストのような、赤いたすきをかけ、菅の笠を被った昔ながらの早乙女たちの姿を見ることができます。
この早乙女のような、一般の人にはあまり馴染みのない季語も、歳時記と呼ばれる季語の辞典のようなもので簡単に調べることができます。
だから、「季語を入れろと言われても、季語なんて知らないし…」などと後ろ向きに考えず、「歳時記をめくって、いろんな季語と出会おう」と、前向きに考えるようにしてください。
歳時記については、別の記事で詳しく触れます。
定型
次は筆者の俳句ですが、これも五・七・五音の定型となっています。
冬虹のまだある空へ伝書鳩
凡茶
ふゆにじの(五)
まだあるそらへ(七)
でんしょばと(五)
ここで、「あれ、でんしょばとは六字だよ。五字じゃないよ」と、思った方もおられるでしょう。
たしかに伝書鳩の語は、文字数では「で/ん/し/ょ/ば/と」の六文字になりますが、音は「で/ん/しょ/ば/と」で五音となります。
小さな「ょ」を含む「しょ」は、二文字で一音となります。
俳句の定型は、五文字・七文字・五文字ではなく、五音・七音・五音です。
小さな「ゃ・ゅ・ょ」などについては、別の記事で基礎から丁寧に学びます。
おわりに
ここまで当記事をお読みいただき、ありがとうございました。
上掲の「早乙女の見に行く宮の鏡かな」の句を詠んだ池西言水は、江戸時代初期の俳人です。
田植えの神事に参加していた若い娘さんが、おしゃれを保てているかが気になり、神社の鏡に自分の姿を見に行った…
ただ、それだけのことを描写した句なのですが、300年以上経った現在でも親しまれています。
私は、この句を読むたびに「今も昔も、若い女性は同じなのだなあ」と思い、クスッと笑ってしまいます。
ところで、冒頭の早乙女のイラストは、筆者がかつて運営した「季語めぐり」というブログに掲げていたものです。
当時、そのブログに載せるイラストは全部自分で描き、写真は全部自分で撮っていたのですが、さすがに手が回らなくなりました。
よって、当サイト「季語の庵」は、ダウンロード素材のイラストや写真も素直に利用しながら作成しております。
ただ、あの頃徹夜して描いたイラストや、遠出してまで撮ってきた写真には愛着のあるものも多く、この「俳句の作り方」カテゴリに載せる記事の装飾画像として、その一部を紹介していけたらなあと考えています。
これからも当サイトをよろしくお願いいたします。